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◆和田秀樹氏の”「英語脳」のつくり方”から

 今日は、”「英語脳」のつくり方”(2003年11月 中央公論新社刊 和田秀樹著)からの話題です。

 和田秀樹さんは1960年大阪府生れ、東京大学医学部卒業の精神科医です。東京大学医学部付属柄院精神神経科助手を経て、1991−1994年アメリカの力一ルメニンガー精神医学校に留学しました。老年精神医学、精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法を専門としています。また、教育問題にも造詣が深く、学力低下批判から受験ハウツー指導まで幅広く活躍しています。

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 和田さんは、流暢な英語を話すことよりも、英語で内容のある話ができることが大切だと言われます。

 大人になってから勉強してペラペラな英語を話すことができるようになるのは、まずもって無理です。

 はっきりいって、それはあきらめた方がいい。

 訥々のジャパニーズ・イングリッシュであっても、中身さえあれば、相手は必ずあなたの言うことを聴こうとするはずです。

 そういう英語が大人のための英語であり、そのため、自分の英語を話せる自分の英語脳を作ってほしいということです。

 中学生のときから最低でも3年間、高校・大学まで入れれば10年間も英語を学びながら、日本人は英語が話せないとよくいわれます。

 学生時代にあまり勉強しなかったという人でも、受験の時にはそれなりに集中して勉強したはずです。

 それなのに、英語ができない、話せない、そして、英語に対して引け目を持ち、英語ができるというだけで尊敬したりしまうことさえあります。

 しかし、受験勉強で英語を学んだお陰で、少なくともフランス語やドイツ語をいちから学ぶよりは、英語を学ぶ方が有利なポジションにあります。

 少しくらいは勘でも読めますし、知らない単語を覚えればなんとかなると思っていることでしょう。

 だから、大切なのは、新たに英語を学び始めるのではなく、10年前、20年前に学んだ英語を、いかに蘇らせ、うまく活かすかということなのです。

 本書では、自分の体験に基づいて、かつて受験で鍛えた英語力を蘇らせるための方法やブラッシュアップするためのコツなどから始まります。

 それから、大人がめざすべき英語とはどういった英語なのかということを考えていきます。

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 和田さんは、大人にとっての英語脳がどういうものかを述べておられます。

 大人には、子どものように聞くだけで言言語習得できる機構はありません。

 ですから、大人が英語を使う場合、単語を一つひとつ考えながら文法でつなげていくのは相当に難しいです。

 苦労して作文した割にぎくしゃくして、良い英文にならないことがあります。

 和田さんは、大人の脳に英語のソフトを入れるような学び方を考えておられます。

 日本語を英語に置き換える翻訳ソフトを、思い起こしてみてください。

 仕組みは、まず、大量に英単語を機械に記憶させておきます。

 日本語文を人力すると、相当する単語と文のパターンをメモリーから選択して文法的に並べ替えます。

 この翻訳機が世に出た当初、かなりぎこちないおかしな英文か出てきました。

 原因は、当時はハードディスクの容量が少なく、対応する単語や英文パターンが限られていたからです。

 ですが、現在の翻訳ソフトの質は格段に訳か良くなっています。

 ハードディスクの容量が非常に大きくなり、単語と英文のパターンが豊富になったので、かなり日本語に対応できるようになってきたのです。

 実は人間の脳でも、同じことがいえるのです。

 昔取った杵柄で、基礎的な単語は脳に記憶が残っています。

 そこで、多量の英文を何遍も読みまくり、たくさん英語の文のパターンを把握しました。

 そして、英語を使うときは、表現したい日本語をそれに近い英文パターンに当てぱめていきました。

 その方法を何度も何度も繰り返しているうちに、ぎこちなかった自分の英語かだんだんと英語らしい滑らかな表現になっていったのです。

 ・・・・・・

 和田さんは、大人にとっての英語脳がどういうものかを述べておられます。

 要は、頭の中に単語や英文パターンの記憶を豊富にとり込み、言葉の並べ替えに慣れることです。

 いわば、性能の高い自動翻訳機能を自己開発したようなものです。

 ここまでできれば、一応使える英語にはなります。

 そのために、自分のメモリー機能=記憶などの特性を知って、対策や工夫をしていくことです。

 そして、英語脳にはもう一つ次の段階があります。

 発想の切り替えとてもいいますか、日本語で考えたことをその順序で話すのではなく、例えば英語らしく結論から話すといったようなことです。

 英語をたくさん読んでいると、そういうコツや傾向が飲み込めてきます。

 大人の言語習得は、聞くだけでしゃべれるようになるこどもほど楽ではありません。

 その代わり学べば学ぶほど奥も深いです。

 文を読み込む段階で新聞などを使えば、仕事にも活用できるような情報がいろいろ得られます。

 また、常に頭を使って勉強することは年齢を重ねても知的活性につながり、健康にもよいことがわかってきました。

 二次的、三次的な副産物まで得られれば一挙両得、あるいは三得ではないでしょうか。

 ・・・・・・

 和田さんは、記憶のパターン・発達段階に応じた英語習得について述べておられます。

 記憶のパターンは大人と子どもとでは違いかあります。

 小さい子が言語の習得に優れている点として、言語の深層構造をあげました。

 深層構造とは、言語の分析や解釈は表面構造だけで正確な分析や解釈は不可能で、その背後に潜む真の構造を見る必要性があるというものです。

 アメリカの言語学界チョムスキーが、表面構造だけに限らず直感を働かせて表面の構造の裏に潜む深層構造を見抜くことを示しました。

 その他に、意味記憶が優位だからということがあります。

 意味記憶とは、脳に辞書ソフトを作るような機能で、例えば、物を見て一対一対応に近い形で、いろいろな事物の意味を記憶していく方法のことです。

 頭の中に辞書を作るような記憶の仕方であり、言葉とその意味が対応することから、カナダの心理学者タルヴィングが意味記憶と呼んだものです。

 体験や理解に関係なく、見たものや聞いたものなどが脳に放り込まれていく、非常に丸暗記的な記憶の仕方です。

 幼児期から小学校低学年くらいまでは、ほとんどの記憶が意味記憶です。

 どんどん言葉や数字などを覚える必要があり、脳内の辞書に多くの事物を記銘させる時期です。

 意味記憶は要するに単純な丸暗記ですから、本来は結構難しいけずです。

 ところが、小さい子はこのやり方が非常に得意で易々とできるのです。

 実際、車好きの小さい子が膨大な数の車の名前を覚えていたり、電車に乗るのが好きな子がたくさんの駅の名前を停車順にいうのを見かけることかあります。

 地面か水を吸い込むように、この時期の子どもは物事を吸収するのです。

 ・・・・・・

 小さい子どもは、地面か水を吸い込むように物事を吸収します。

 しかし大人になるにつれて、だんだんとこのような丸暗記型の習得が難しくなってきます。

 エピソード記憶と呼ばれる、体験に基づいた記憶の仕方、か優位になってくるのです。

 エピソード記憶に変わってから英語を習得する場合と、意味記憶で習得する場合とでは、かなりの違いがあります。

 学生の頃でさえすでに、年号や元素記号などを丸暗記するのはつらくなかったでしょうか。

 だからこそ、

 一夜一夜に人見頃 =√2≒1.41421356

 人並みにおごれや =√3≒1.7320508

 鳴くようぐいす平安京=794年

 いい国つくろう鎌倉幕府=1192年

などと語呂合わせをして覚えたわけです。

 大人の記憶パターンであるエピソード記憶は、体験にまっわる記憶・理解を伴っているのであれば覚えやすいのです。

 つまり記憶力が落ちたのではなく、得意な記憶の種類が変わったということかもしれません。

 ・・・・・・

 小さい子どもは、地面か水を吸い込むように物事を吸収します。

 しかし大人になるにつれて、だんだんとこのような丸暗記型の習得が難しくなってきます。

 その代わり、若い頃できなかったことが、年を重ねて経験を積むことによってマニュアルをよく理解できますし応用も利くようになることはあるでしょう。

 たとえば、仕事のマニュアルを丸暗記したような場合の柔軟な対応です。

 歳をとってからの方が仕事の覚えが早く、かつよくなるわけです。

 それは単なる慣れではなく、エピソード記憶がよくなっているということなのかもしれません。

 しかも意味記憶よりもむしろ、エピソード記憶の方が実社会では意味のある、役に立つ記憶なのです。

 意味記憶とは、世界に関する知識、規則、言語、概念のような一般的知識のことです。

 いつ覚えたのか思し出せませんが、知識として知っているようなものがこれにあたります。

 基本的には物とその名称などの組み合わせの記憶で、昔は記憶力かよかったという時の記」は、意味記憶を指していることが多いです。

 エピソード記憶とは、あるときある場所で起こった出来事といった個人的な知識などで、過去の出来事の記憶ともいえるものです。

 修学旅行の思い出、初恋の思い出などが典型的なエピソード記憶です。

 音楽を聞くとその曲をよく聞いたころの思い出が蘇るという経験は誰にもありますが、これもエピソード記憶と深く関係しています。

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 大人になるにつれてだんだんと丸暗記型の習得が難しくなり、意味記憶やエピソード記憶が大きな役割を持つようになります。

 しかし、意味記憶は体験や理解とリンクしていませんので、脳から引き出して使おうとしたとき、何かきっかけでもないと思い出しにくいです。

 学生時代、どうにも興味が持てなくて理解しがたい事柄を、試験の前にせっぱ詰まって丸暗記したことはないでしょうか。

 しっかり覚えたはずなのに、語呂合わせでもしない限り満点は難しいでしょう。

 しかもこの記憶は、使わないでしるとどんどん失われていきます。

 試しに語呂合わせなしで年号などを思い出そうとしてみると、その困難さが実感できます。

 一方、エピソード記憶は、原則的に思い出したいときに脳から取り出せるタイプの記憶であり、忘れにくいです。

 ただ、エピソード記憶であっても長期間使われないと、これが意味記憶に変化することかわかってきています。

 最近の脳科学で、すべての記憶が確実に所定の場所に蓄えられるのでなく、ネットワークによって記憶の場が変化してゆくと考えられるようになってきました。

 つまり、ネットワークの総体か記憶というわけです。

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 和田さんは、記憶のパターン・発達段階に応じた英語習得について述べておられます。

 脳のソフトはいろいろなネットワーク同士が絡みあっていて、常に更新されている状態のようです。

 あるネットワークで記憶していたはずの情報が、いつの間にか別のネットワークで記憶されているということも起こり得ます。

 そこで、何らかの事情でネットワークが悪いような場合は、エピソード記憶を受けつけないことがあるかもしれません。

 しかし、そういう特殊な事情を除けば、大人になればなるほど、エピソード記憶がうまくいく人もいます。

 せっかく覚えた熟語やいい回しを、取りこぼしてはもったいありません。

 記憶の特性を知って英語習得に活かしてください。

・幼児期は、人間の声を言語と判断する構造や意味記憶があります。

・小中学生は、日常生活で耳から慣れ日本語と英語をうまく切り換えて、バイリンガル的に話せるようになります。

・大人は、日本語で固まってからの頭で覚える英語となります。

 覚え方は年齢で異なりますが、発達段階に応じて身につけるべき英語の質も違うと思います。

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 和田さんのお子さんは、帰国子女は英語がとてもよくできるといっていたそうです。

 確かに小学校三年生までアメリカにいたとしたら、日本の中学校の教科書を読むくらいは何ほどのこともないでしょう。

 しかし三年生までいたのか、四年生までいたのか、五年生までいたのかによって、読める英語のレベルはそれぞれ違います。

 また帰国子女の親が、帰国後も英語を学習させているかどうかによっても、かなりの違いが生じるでしょう。

 たとえ何らフォローをしなくても、その子は英語が話せて聞けて、英語の会話はうまいでしょう。

 ただ、所詮その英語の語彙や概念は小学校三年生のままなのです。

 小学校三年生の日本の子はむろん、相当日本語ができる大人のアメリカ人よりも、うまい日本語を話すすかもしれません。

 ですが、語彙はやっぱり子どものものですから、しゃべるのがどんなにうまくても、大人の会話に入っては行けません。

 ですから、帰国子が非常に英語ができるというのは、ある一面を取りあげているに過ぎないのです。

 英語ができるように見えるのと、実際にできるのとは違います。

 発音なぞ多少拙くても、内容のあることを伝えられるようにするのが、人が身につけるべき英語なのです。

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 和田さんは、年齢を重ねても理解力は落ちないと言われます。

 受験勉強に明け暮れた頃と比べると、大人になるほど確かに記憶力は落ちてきます。

 和田さんは、40歳を過ぎて臨床心理上の資格試験を受けたとき、その受験勉強で記憶力の低下を思い知らされたそうです。

 過去に出された開題をやってみて、最初に6割強できました。

 そこでさらに勉強した後でもう一度同じテストをしてみて、なんと7割くらいしかできていなかったそうです。

 さすがにショックでした。

 しかも、受験勉強のノウハウを書いてきたのに試験に落ちては、あまりにも面目がありません。

 そこで基本に立ち戻り、腹をくくって人間が記憶をする機構のセオリーどおりに実行することにしました。

 知識を脳に入力(覚える)・貯蔵(蓄積する)・出力(想い出す)する三段階方式です。

 記憶力をよくするというのは、どれだけの文例を頭に叩き込む必要かあるかということも含めて、英語学習にとって非常に人事なポイントです。

 簡単に説明しておきます。

 記憶の三段階モデル

@入力をよくする(心理学用語では記銘)

A貯蔵をよくする(保持)

B出力をよくする(想起)

 記憶力をよくするには、この三つの段階を踏まなければなりません。

 ・・・・・・

 記憶をよくするには、入力をよくする(心理学用語では記銘)、貯蔵をよくする(保持)、出力をよくする(想起)ことが必要です。

 まず、入力のためには丸暗記の意味記憶ではなく、覚えるべき事柄の意味を充分に理解することに努めます。

 よく理解された知識は、よく咀聯された食物が消化・吸収されやすいように、格段にエピソード記憶として残りやすいからです。

 しかも嬉しいことに、知的理解力というものは年を重ねても落ちることがないのです。

 個人差はありますが、むしろさまごまか経験などから理解力は深まっているかもしれないのです。

 気をつけなければいけなしのは、覚えるときの状況です。

 注意力のレベルが低いときは、上手く入力ができません。

 逆に、レベルが高いときは人力が容易です。

 注意力のレベルを規定するものは、集中力と、興味です。

 集中力が高まっているときは記憶しやすいのですが、集中力が低下しているとき、例えば眠いときやなどは、勉強しないほうがよいのです。

 無理に行っても、効率が悪いのです。

 自分が興味を持っていることは、基本的に覚えやすいのです。

 興味があるというのなら、年は重ねていても、昔より遥かに覚えやすくなっているはずです。

 そういう意味で、理解や興味をどれだけ高めることかできるかか、記憶の入力段階での勝負になります。

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 和田さんは、年齢を重ねても理解力は落ちないと言われます。

 まず、入力のためには丸暗記の意味記憶ではなく、覚えるべき事柄の意味を充分に理解することに努めることが大切です。

 次に、貯蔵をよくするのは、復習です。

 復習をしないで記憶力が落ちたという人が、非常に多いのです。

 特に大人は面倒くさがってしない人が多いようです。

 ですら、ぜひ、意識して習慣的に復習をして欲しいとのことです。

 そして、出力は、使うことが一番です。

 記憶をより長期的に持続するために、吸収した知識をしつこく何度も取りだし=想起することを繰り返すのです。

 英語は使っていないとすぐに忘れます。

 留学帰りの人たちに聞いてみると、書く能力と話す能力がすぐ落ちる、と口をそろえます。

 いったん耳が慣れて映画なども字幕なしで聞き取れるような人は、その後も聞き取り力はそれほど落もないようです。

 しかし話す能力は、留学から帰って何年も経つと、かなり落ちてしまうということです。

 やり方次第で記憶の低下はカバーできます。

 情報をよく噛み砕いて頭脳に人力し、メモリー貯蔵庫から頻繁に意識の表面に出力することで、知識を定着させることができるのです。

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 和田さんは、大人の特権は理論から入れることだと言われます。

 丸暗記ではないやり方で知識を吸収するためには、文法の理解が不可欠です。

 文法と聞いて学生時代の退屈な勉強を思い出し、うんざりするかもしれませんが、これが大人にとっては意外と楽なのです。

 子どもの頃なら取りつきにくく理解しづらかった文法などの理論は、大人になるとかえって理解しやすくなっているからです。

 幼児期の感覚的に言語を習得する機能を失った代わりとでもいうべきか、頭で考える方がわかりやすいという大人ならではの能力です。

 また、単語をいちいち文法に当てはめて文章を作るのは難しいですが、文章のフレーズを覚えるために文法を使うのはとても効率のよいやり方です。

 英会話教室で初心者のクラスに通ってみると、挨拶の言葉など簡単な例文から始まって、子どもが身につけるような方法論が採られています。

 しかし大人になってからの英語学習法と、子どもが行う方法が一緒でいいのかというと、答えは No なのです。

 少なくとも高校レベルの教育を受けて、それを覚えている人ならば、ごく簡単な日常会話から順番にステップアップするよりも、

 いきなり英字新聞を読んだ方が、英語は身につくのでです。

 つまり、実際に欧米で使われている大人レベルの英語から入っていく方がよいのです。

 それが大人の英語学習なのです。

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 和田さんは、いきなり英字新聞を読んだ方が英語は身につく、と言われます。

 知識の蓄積かないフランス語で、1000〜2000の単語と簡単な文型だけの知識でいきなり新聞か読めるかというと、ちょっと厳しいです。

 むろん多少文法をこなし、単語を覚えていけば思ったよりもよい成果は得られるかもしれません。

 大学に入ってから初めて第二外国語として勉強を始めても、卒業するまでにそこそこ上手くなる人もいます。

 ただ、その苦労と比べれば、もともと蓄積がある英語の方か取りつきやすいのはいうまでもありません。

 また、いきなり新聞レベルの読み物を薦めたのには、もう一つわけがあります。

 仕事の場など、大人同上で話す会話にはそれなりの内容が必要です。

 ある程度、現在の世の中の動きを英語で読んでおくと、相手とのコミュニケーションに都合がいいのです。

 たとえどんなに流暢にしゃべれても、低いレベルの貧相な会話ではビジネスで通用するわけがありません。

 日本人は外国語がペラペラでないと、世界的な場でも必要以上にコンプレックスを感じがちのようです。

 しかし、そんなにびくびくすることはありません。

 英語など、たかが道具ではないでしょうか。

 手段を目的と勘違いするから、本末転倒なこともいろいろ起きるのです。

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 和田さんは、大人同上で話す会話にはそれなりの内容が必要だと言われます。

 学問を学びに留学したのに、英語を勉強してしる人かたくさんいます。

 なぜか本来の勉強をおろそかにしてまで、英語をしゃべりたいらしいのです。

 英語習得のため、日本人同士でつるまない人すらいます。

 和田さんの留学中も、やはり英会話をものにするため日本人と話さず孤立していた人かいたそうです。

 その人はしょっちゅうネイティブを招いてパーティを開き、一日中英語でテレビを見ているようでした。

 ところが、そうすると毎日読まねばならない大量の宿題をやっていないことになるのです。

 本当にそれでいいのでしょうか。

 もし英語は道具と割り切れず、話す中身を鍛えずに英語で生計を立てて行こうとするならば、これからはどんどん難しくなって行くでしょう。

 パソコンや翻訳機だって精度の高い自動翻訳ができるようになっていくでしょうし、そのうち音声も出るようになるでしょう。

 すると器機を持ち歩き、音声で入力すれば、挨拶など日常の会話は非常に容易になります。

 だとすれば、やはり重要なのはコンテンツです。

 もう英語ができるだけでは生計を立てていけない時勢になりつつあります。

 未だにコンプレックスから抜け出せず、英語に幻想を抱いてしがみつくのは悲しいことです。

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 和田さんは、渡部昇一先生が、”植民地の英語”ということをいっておられたと記憶しているそうです。

 植民地の英語は、公用語だからそこそこ通じるくらいならば誰でもしゃべれます。

 しかし、あまりハイーレペルではありません。

 植民地から宗主国に行っても英語は通じますが、お手伝いさんか下働きくらいしかできません。

 会話が流暢なだけの植民地英語は、最も馬鹿にされてしまいます。

 結局、話か通じるという程度の英語ではあまり意味がないのです。

 向こうの人たちは、英語のレベルを、流暢さよりはボキャブラリーだとか、どれだけ会話の中身が洗練されているかといったことで判断しています。

 留学中、和田さんは、21年もアタリカに住んでいる先輩の医者に、

「自分の英語が通じないときは、相手の知的レベルか低いと思ったらいいんだよ」

といわれたことかあるそうです。

 日本人の話す英語がネイティブに通じないというのは、相手に連想能力がないということを言っているのです。

 つまり下手な英語を話されたときに、連想能力があれば何をいっているのか察することができるはずです。

 留学に来る日本人の話す英語は、そんなに人はずれてはいませんから、相手に知性があとは下手な英語で話してもそこそこ通じるはずです。

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 和田さんは、医師の先輩から、

 患者さんと話すのはつらい、

 医者同士で話すときは通じるのに、

という話題がよく出されたそうです。

 病院の中では言葉が通じるのに、ショッピンセンターに行くと途端に通じなくなってしまうのです。

 それでも心中で、相手のせいもあると思えれば、通じないからといて、必要以上にうなだれることもありません。

 受験英語で身につけてきた英語力は、

 複雑な文法の問題を読み解いた、

 単語を極端に覚えさせられた、

 速読重視のトレーニングを受けた、

などで違ってきます。

 しかし最終的には、きちんと読める、使えるという感覚は共通してあると思います。

 現在の英語教育の傾向としては速読か重視されて、素早く内容をつかむ能力が要求されています。

 ただ、言葉は雑に読もうと思えば、いくらでも読めてしまいます。

 文意をぱずしていたのでは、情報をつかめず結局時間の無駄になってしまいます。

 実は、本当に英語ができると思うのは、意外にも昔の堅苦しい英語を学んできた人たちです。

 一見無駄のように思える繰り返しで学んできた方が、きちんと正確に英語を使えているのす。

 ですから、受験英語を背景として再び英語習得の勉強を始めるにしても、初期段階の訓練は正確にやってもらいたいと思います。

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 和田さんは、なぜ英語の”読み”が必要なのについてコメントされています。

 必要があるのかどうかも考えず、英語を勉強しなければと慌てて英会話教室に駆け込む前に、少し頭を冷やしましょう。

 自分にとって何か必要なのか、何を目的に勉強するのか考えてみてください。

 せっかくお金を使って、あまり成果がなしのではもったいないです。

 日本で仕事をするビジネスマンなら、よく考えると実際に会話する機会はそう多くありません。

 一番使う確率か高いのは、インターネットや紙媒体からの情報を得ることです。

 ビジネスに最も必要な英語は”読み”なのです。

 和田さん自身、英語は読み書きさえできれば仕事の上でほとんど不自由がないそうです。

 最近、日本では経済雑誌の発行部数が落ち込んでいるといわれます。

 それでも毎週欠かさず『日経ビンネス』『エコノミスト』などを読み、情報を収り込んでいる諸氏は、いろいろなことに詳しくレベルの高い人たちだと思います。

 アメリカのビジネスマンも日本のビジネスマンも、仕事の根本は変わらないということを前提に考えると、それはアタリカでも同じです。

 アメリカの主流経済雑誌を毎週読む努力をするような人ならば、そこそこ能力は高いが何も読まない人よりも、アメリカのビジネス市場に詳しくなれます。

 少なくとも能力の高い人と互角の状態に立つ、アメリカでもできる人たちなのです。

 だとしたら、”読み”さえできれば、日本人もそのレベルに達することか可能です。

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 日本は比較的早く翻訳か手に入る国です。

 せいぜい2〜3か月の遅れで訳したものを読めます。

 和田さんは、翻訳を読むだけでも一般的なアメリカ人ビジネスマンより早いかもしれないと言われます。

 もし時間差なく英語の雑誌やインターネット版の情報をダイレクトに読めて什事に活かせたなら、アメリカでもできる人たちに勝てる可能性があります。

 情報という点でいえば、日本人は非常に恵まれた翻訳文化の中にいます。

 和田さんは、留学前、この豊かな翻訳環境を当たり前のことだと思っていたそうです。

 ところが留学してみて初めて、アメリカのきわめて貧しい翻訳事情に気がつきました。

 例えば、『精神分析入門』といったジークムント・フロイトの代表的著作などに関しては、英訳よりも日本語に訳された方が多かったくらいです。

 だからといってアメリカ人が原書を読んでいるのかというと、そうでもなさそうです。

 アメリカ人で英語以外の言葉が使える人は意外にも、驚くほど少ないのです。

 どうやらアメリカ人は、かなりのインテリを含めてほとんど英語圏情報しか見ていないようなのです。

 話をしているうちに気づいで驚いたのは、アメリ力人はドイツ哲学などほとんど知らないことです。

 哲学書の訳本もあまり出ていません。

 古典中の古典、デカルトやカントなどは少し見かけます。

 しかしフッサールなどはほんの一部しか訳されていません。

 インテリでさえ、英語圏文化以外は結構物を知らないのかもしれないのです。

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 和田さんは、翻訳を読むだけでも一般的なアメリカ人ビジネスマンより早いかもしれないと言われます。

 アメリカ人はかなりのインテリを含めてほとんど英語圏情報しか見ていないようで、英語圏文化以外は結構物を知らないのかもしれません。

 これでぱあまりにも視野狭窄デ、英詰圏のアメリカ・イギリス的なものの考え方に偏向し、自己中心的になってしまうのも無理もありません。

 これに対し、日本語のほうが英語以上に外国、例えばフランス語圏やドイッ語圏の文化を手に入れやすく、知的な偏向を避けうる可能性かあります。

 和田さんが精神医学をこころざす頃には、すでに世界的にドイッ精神医学はもう古いということになっていたそうです。

 精神分析による治療を柱とするフロイトよりむしろ、かつて精神医学の王道だったドイツの学派もすっかり影を潜めてしまいました。

 現在日本の大学の医局などでも、脳科学的な面からの薬物による治療を主眼とする、生物学的精神医学の教授ばかりになってしまっています。

 ともあれクレペリンやシュナイダーくらいまでは、ドイッ学派の本が英訳されていました。

 しかし、『自明性の喪失』で注目されたブランケンブルクなど、ドイッ精神医学のかなりのものは、意外に英語になっていません。

 逆に日本の方が学びやすくなっています。

 また、英語圈の翻訳、医学書の翻訳も進んでいますので、時代に遅れることなく学んでいけます。

 ドイツの主要な文献は日本語に訳されていますので、本は高価ですがそれほど不便なこともなく今日に至っているとのことです。

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 和田さんは、学生時代から現在に至るまで受験指導に関わってきて、受験生にはずっと一貫して”英語は読め”といっているそうです。

 ひとつは、受験英語の傾向が速読に集中してきたという変化に対応する意味合いがあります。

 もうひとつは、”英文を読みこなせるようになるために英語を勉強しているんじゃないか”、ということです。

 大学生、ことに大学院生になってからは、読めるか読めないかで勝負の結果に大きな差がでると思います。

 和田さんは、東大を出た後、英語の論文を輪読する会に参加していたことがあるそうです。

 それは、私立大学、それも新設私立で世間的には偏差値が低いといわれてした大学の人たちも含めた勉強会でした。

 しかし、実際に会ってみると、医者としては優秀な人たちばかりでした。

 国家試験に受かるため大学でみっちり毎週テストを受けていたりして、大学時代はみんな真面目でよく勉強をしていました。

 解剖でも何でも和田さんより遥かによく覚えていて、細かいことまで知悉していました。

 ただ一つだけ、英語の読みだけは、和田さんの方ができたそうです。

 英語の論文などがら知識を吸収するときには、受験で鍛えた英語の読みが威力を発揮したのでした。

 その方が、外国に留学してそれなりの業績を挙げ、英語の論文をたくさん書いて世界的に認められる、といった可能性が開かれています。

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 和田さんは、学生時代から現在に至るまで受験指導に関わってきて、受験生にはずっと一貫して”英語は読め”といっているそうです。

 外国に留学して業績を挙げ、英語の論文をたくさん書いて世界的に認められるには、受験期に読みを叩き込んできたというバックグラウンドが役に立ちます。

 受験で培った知識は、活かせば充分使える力なのです。

 ただ、その使い方を今までうまく説明する人かいなかったのでしょう。

 だから会話幻想が生まれ、話すことさえできればしいという想いに囚われる人があまりに多いのです。

 実際は話せるようになったからといって、本質的によい方に変化した人がどれだけいるのでしょうか。

 話せるからと外資系の会社に勤めたといっても、根本的な仕事の出来が悪ければ駄目でしょう。

 ともあれ、もともと受験英語ができた人であれば、知識を蘇らせれば、かなりの成果か期待できます。

 希望を持って読みに取り組みましょう。

 次回は、和田的英語の基本、読みのステップです。

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 和田さんは、和田的英語の基本である読みのステップに触れておられます。

 英語は、どこからどう攻略したらよいのでしょうかか。

 和田さんの信念として、英語習得全体の基本となるのは”読み”です。

 読みの勉強かそのまま、他の”書き”や”話し”のベースにもなるのです。

 もともと、詰め込み教育で苦労して覚えた知識が脳内に貯蓄されているはずです。

 すぐに思い出せるようでしたら、簡単な英字新聞の読みから入りたいところです。

 しかし、あまりに学生時代の英語を忘れてしまっている場合もあります。

 もし基礎的な中学レベルの1000語くらいの英単語すら思い出せない状態なら、初めてフランス語を学ぶのと同じレベルです。

 この場合、しばらく使っていない知識を呼び覚ますということになります。

 まずは、どの程度忘れているのかをチェックしてレベルを自覚するべきでしょう。

 読みの勉強をするに当たって、おおまかな流れを押さえておいた方かよいので簡単に説明しておきます。

1.基礎固め期。

 基礎的な単語1000〜2000を覚え、基本五文型などを確認します

2.精読期。

 基礎固めを踏まえて、新聞をはじめ興味のある分野の英文を丁寧に読みます。

3.読みこみ期。

 比較的読みやすい英字新聞などをたくさん読みます。

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 和田さんは、基本5文型と基礎単語をどの程度覚えているかをチェックしてみてくださいと言われます。

1.まず、あまり思い出せなかった場合は、観念して基本の1000〜2000語を覚えましょう。

 だいたい見覚えはあるが思い出せない、という程度ではないでしょうか。

 がっかりしないで、短い単文などを作り、エピソード記憶にして覚えていきましょう。

2.1.をクリアした(している)なら、長いこと使っていなかった受験英語の記憶を取り戻すウォーミングアップをしましょう。

 基本文型などを意識しながらなるべく読みやすい一般大衆紙や、あまり難しくない好みの雑誌などを読みましょう。

 少ししずつでもよいので、きちんと辞書をひいて、なるべく雑な読み方をしないように心掛けましょう。

 この時期は少しつらいかもしれませんが、ここを過ぎればかなり楽になりますので、手を抜かないでしっかり勉強しましょう。

3.英文読解に慣れてきたら、英語習得の要、読みこみ期(多読期)に入ります。

 英字新聞はもとより、本人の興味のあるいろいろな英文をなるべくたくさん読みましょう。

 和田的英語脳は、あくまでも読みを主体に比較的早期に精読期をもうけて英語脳のペースをつくります。

 この時期にも可能な限りは辞書を引き、よく文章を理解していきましょう。

 この頃なら、英文を読みは多少面白くなっているでしょう。

 ・・・・・・

 和田さんは、眠れる単語、文法を呼び覚ませ、と言われます。

 もしも最初から基本的な単語や構文などが思い出せるようなら、いきなり英字新聞を読む段階から入っても大丈夫です。

 単語や文法をじっくり確認しながら読み、英語に慣れることで、さらに眠っている英語力を呼び覚ましてください。

 単語・五文型の記憶はいかがでしたか?

 ここでがっくりした人も、悲観しないでください。

 ずっと記憶を出力して想い起こして使っていなければ、すっと出てこないのも無理はないのです。

 しかしこれらの単語は、もともと昔勉強して脳に眠っている記憶なのです。

 ゼロから学ぶわけではなく、思い出すという程度のことです。

 ですから、何度か繰り返し記憶のセオリーを行使して、出力をスムーズにするエクササイズをすればよいのです。

 1000〜2000くらいの基本単語かわかれば、あまり難しくない新聞なら何とかなります。

 まずはそれを目標に頑張りましょう。

 単語集はいろいろ出ていますが、見栄を張らずになるべくやさしいものを選ぶの、かコツです。

 難解なものに挑戦して気落ちするより、容易であっても達成感のある方が勉強を続けていくにはよいのです。

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 和田さんは、ほとんど強迫観念的に辞書を引く方だそうです。

 気になってしまうともう居ても立ってもいられない、とのことです。

 辞書を引くことで頭に英語が入力される、といいます。

 これはかなり個人差があることなのでしょう。

 辞書を引かなくてもニュアンスがつかめるくらい多くの単語を知っていれば辞書を引くことはあまり必要ないでしょう。

 まだ語彙が貧困だと思う場合は辞書を引き、よほど自信かある場合は文脈から読みとる訓練をしてください。

 辞書は、使い慣れているのであれば学生時代・入学受験時に使った物でも大丈夫です。

 ただ、最近の新しい言葉が出ていると、新聞や雑誌の記事を読むには便利です。

 10万語くらい載っている辞書だと、おおむねどんな読み物を読んでいても一冊で事足ります。

 ときには、あまり必要がないと思われる単語もあります。

 和田さんは、辞書を引くことによって意味を知ることが嬉しいし、それで得られる安心感を大切にしているそうです。

 また、持ち歩くのならやはり電子辞書が便利だと言われます。

 さまざまなタイプがあり、日進月歩で充実してきています。

 おもしろい機能がついていたりして、いろいろ見比べるだけでも結構楽しいです。

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 和田さんは、呼び覚ませば相当使える受験英語の知識でも、一つだけ気をつけておいた方がいいことがあると言われます。

 受験英語で使いにくい部分は、”古さ”という点です。

 昔勉強した単語や熟語、言い回しなどは結構古くなっています。

 そのことさえのけると、使える知識ばかりです。

 英語の基礎は受験でできているはずなのですから、あとは新しい細かい情報などを脳に入れ直してや牡はいいのです。

 ですから、和田さんは、古さへの対処法としても、今の情報をたくさん読もうと提案したいと言われます。

 そして、ある程度の単語を覚え、文法を呼び覚ましたら次は精読期です。

 自分が読む必要のある、また読みたい種類のものを、単語と文法事項を意識しながらていねいに読みます。

 その過程で、必要、あるいは興味ある分野の単語をきちんと覚えていきます。

 文法も、主語と述語など文の構造を意識して読むのは当然ですが、形容詞、形容動詞などの細かい部分も精読期には充分理解してから読み進みましょう。

 そうすることで、慣れてくると読むのか省いていいかの判断がつくようになります。

 基本五文型もあまりに初歩だと馬鹿にしかちなのですが、侮らずにパターンを意識しながら読むと内容がよりはっきりとつかめます。

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 単語や文法事項がこの過程を経てある程度定着したら、いよいよ英字新聞デビューです。

 最初からあまり程度の高いクオリティ・ペーパーだと挫折するかもしれません。

 和田さんは、最初はわかりやすい大衆紙で充分です、と言われます。

 大衆紙は一つのセンテンスが、おおむね20語以内と短く書かれていることが多いです。

 使われている文法もわりあい単純ですので、読解しやすいです。

 日本でもだんだん四字熟語などを使わなくなってきていますが、英語でも一般的な文に関しては、思うほど難しい単語は使われなくなってきています。

 学ぶ側からするとありかたいことに、文章はなるべくわかりやすい易しい方向性になってきているのです。

 たくさんの英文を読むのに、いちいち辞書を引きまくるのは大変ですし面倒です。

 けれども、和田さんは、あえて、早い時期に精読期を設定して英語の構造と単語をよく理解した方がいいと、言われます。

 辞書を丁寧に引きながら毎日きちんと読む時期を作るというのは、英文に充分慣れる機会になります。

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 和田さんは、精読期用に、英字新聞をいくつか紹介しておられます。

The Japan Times
 創刊は1897年で、世界108か国で読まれており、企業の英語研修や大学の授業などでも活用されています。

The Daily Yomiuri
 読売新聞の英字紙で、毎週火・金曜日のラングージ・ラボのコーナーでは2ページにわたり、英語教育が直面する問題を掘り下げた記事や時事英語の特集を掲載、しています。

International Herald Tribune/ The Asahi Shinbun
 朝日新聞とヘラルドトリピューンとの提携紙で、ニューヨークタイムズの記事が主体で、論説面が充実しています。

THE NIKKEIWEEKLY
 日経の週刊英字紙で、ビジネスでよく使われる英語や略語、言い回しを学ぶのに向いています。

asahi weekly
 朝日新聞の週刊英語版で、タイムなどを読んでいる人にお薦めです。

MAINICHI WEEKLY
 毎日新聞社か発行する、週刊の英字新聞です。

The Japn Times weekly
 The Japn Timesの週刊版ですが、ダイジュエストや簡易版ではなく、欧米の新聞社や通信社のポイントを中心に編集しています。

週刊ST
 The Japn Times発刊の英字新聞で、英文にはすべて日本語の要約がつき、単語の解説もあります。

英字新聞のダイジェスト版雑誌

 TIME
 NEWS WEEK
 Fortune
 The ECONOMIST

 なども参考になります。

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 和田さんは、精読期は語学を学ぶ上で一番つらい時期だと言われます。

 しかし、最初の3か月なり半年なりに、800語〜1500語程度の課題をこなすと後はだいぶ楽になるそうです。

 丁寧に精読した時期を経て多読するのと、何もしないでただ多読するのとでは脳への吸収率にかなりの違いが出ます。

 忙しいビジネスマンだと時間も取りにくいでしょうが、電車の中で毎日10〜20分ずつでもいいです。

 あるいは、毎週末、5時間くらい英語に浸りきるというように、習慣化するといいでしょう。

 居心地のいい場所に腰を落ち着け、やさしい英字新聞や自分の興味のある分野の英文の雑誌のコラムなどに向かって、傍らにお気に入りの辞書を置きます。

 使えそうなフレーズや、気に入ったいい回しをメモしながら、ちょっと受験期に戻った気分で丁寧に、心静かに読んでいきます。

 好みの飲み物でも飲みながら、できれば学ぶことをゆったりと楽しんでほしいです。

 ある程度続けていくと、だいぶ単語が身についてきて、辞書は徐々に出番が少なくなってきます。

 精読期が過ぎたのです。

 すると内容が割とスムーズに頭に入り、読み物そのものを味わえるようになってきます。

 そうなったら、寝る前に好きなコラムを一つ読むなどして、日本語の読書と同じように楽しめるのです。

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 和田さんは、読みまくって大人の英語脳をつくれと言われます。

 文法と単語を覚えていても、長いブランクの後ですぐにスラスラ読んだり書いたりできるとは限りません。

 和田さんは、留学中の3年間は資料を読む宿題がたくさん出ましたので、1日に40〜50頁ほどの英文を毎日読む羽目になったそうです。

 否応なく精読期に突入したのでした。

 日本語の本であればそうたいした分量ではないのですが、英文の40〜50頁は思いのほかきつかったそうです。

 昔の猛勉強のお陰で基礎的な単語などは覚えてはいましたが、最初はとても時間がかかかり、1時間に8頁かやっとでした。

 辞書も引いてばかりでしたが、結局最後まで引くのをやめませんでした。

 それでも毎日のようにたくさん読んでいくと、1時間にで10頁、15頁とだんだん早く読めるようになったそうです。

 やっと精読期のヤマを超えたのでした。

 すると当初は逐語訳的に緻密に読まなければ内容がよくわからなかったのが、わざわざ頭の中で細かく訳さなくても意味が把握できるようになってきました。

 日本語で本を読むとき、細部まで熟読しなくても大筋がわかったり、斜め読みして大意がつかめるような感じです。

 でも、強制的に読まねばならない状況に追い込まれて宿題を何とかこなすだけで精一杯だったそうです。

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 和田さんは、読みまくって大人の英語脳をつくれと言われます。

 和田さんは、もともと小説など文学作品も読まず、その他に特別読んだものはあまりないそうです。

 そこで、向こうの待合室ならどこにでも置いてある雑誌などを、仕方がなく眺めるくらいでした。

 時事問題などは結構好きなので、面白い記事があればきちんと読むのですが、向こうの言い回しにはまだ慣れていません。

 また、当初は時事英語がわからなくて、こういうレベルの英語には結構苦労させられたとのことです。

 ある程度知っていることについての記事なら類推して読みとれるのですが、そうでない場合は見当がつかないのです。

 遊びに出かけた先や待合室ではほとんど辞書を持っていませんので、辞書引き魔である和田さんは困ったようです。

 しかし日本で勉強するなら傍らに辞書もあることですし、時事英語や新しい言い回しなどは英語の「書き」のときに大いに役立ちます。

 なので、自分の読みたい容易なものから始めて、どんどんいろいろな読み物にもチャレンジしていただきたいとのことです。

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 時間かないときでも、トピックス・センテンスだけを丁寧につなげて読んでいく癖をつけるだけでもだいぶ力がつきます。

 和田さんは、人称代名詞や所有代名詞など改めて学ぶ必要のない言葉を含めて、20000万くらいの単語を記憶できればよいと言われます。

 そうすれば、特殊な専門書でもない限り、一般的な読み物で多分そう困ることはないと思われます。

 そして、クオリティ・ペーパーにも手が届くことでしょう。

 たくさんの英文を読んでいると、きれぎれだった単語がつながり、意味を待った文章=文例としてたくさん頭の中に入ってきます。

 特によく使われる言い回しなどはあちこちで出てきますので、脳に入力されやすいです。

 そうなるとしめたもので、書いたり話したりするときも表現したいことに近い英語のフレーズかだんだん浮かんでくるのです。

 読んでいる段階で、この表現はいただきと思うか思わないかで、書きや話しのでき具合は違ってきます。

 自国語ではないものを読むときは、ただ漫然と読んでいては駄目です。

 いい加減に読んでばかりでは、いくらたくさん読んでも絶対に語学習得などできません。

 ですから、本当に勉強しようと思うなら、真面目に読むべきなのです。

 雑誌のような軽い読み物も、日本語ならざっと読むのもいいでしょう。

 ですが、英語の場合はしっかり意味をつかみながら、真剣に読んだ方かいいです。

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 和田さんが考える英語脳は、ある意味で子どもの英語習得法と似ているそうです。

 英語に数多く触れて慣れることが最大のポイントであることが、共通しているのです。

 ただ、子どものように耳から聞いて無意識に自然に刷り込まれていくなど、脳に吸収能力はありません。

 大人の場合は意識的に「読み」で英語に接して取り込むことを行います。

 つまり、子どもと違って漠然と耳から聞いていてもなかなか記憶に留まらないのです。

 語や文法、言い回しなどを頭で理解しながら、意識して脳に蓄積することを狙うのです。

 「読み」はその最大の入力法なのです。

 子どもが「聞いて慣れる」のであれば、大人は「読んで慣れる」のです。

 内容をつかむのに、トピョクス・センテンスを読むのも一案です。

 確かにそういうところだけサッと読んで内容をつかむという手もあります。

 ただ、それだげで中身がわかったような気になってしまうのは注意が必要です。

 和田さんは、あまりうぬぼれないよう、ときには自分の読みがそんなに正確ではないことを認識した方がよいと思っているそうです。

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 和田さんは、ときには自分の読みがそんなに正確ではないことを認識した方がよいと思っているそうです。

 英語の新聞や雑誌を読んでみて「あまりにわからない」と愕然とする人と、何となく読めて、英語がわかっているような気がするタイプの人かいます。

 前者の方が進歩の可能性があります。

 「何となく読めたような気がする」という人は、受験英語もしっかり取り組んできた人にありがちなパターンです。

 そういう人は新聞記事なTIME誌なりを、

 ざっと読んで何が書いてあったのか把握した場合と、自分できちんと訳してみた場合と

 どのくらいの差かあるかを確認してみた方が良い。

 自分のレベルがよくわかりますので、なるべく早期に自己診断をするべきです。

 本当は理解してもいないのにいっぱい読んだ気になるのは、時間の無駄です。

 奢らずに自分の実力を見直すことが必要です。

 特に新聞記事など日本語で読んだものと情報がかぶっている場合、読めたような気になりがちです。

 それではいくらたくさん読んでもさっぱり「書き」や「話し」の応用につながらないことになります。

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 和田さんは、ときには自分の読みがそんなに正確ではないことを認識した方がよいと思っているそうです。

 思い込みで間違った解釈をするようでは、ツールとしての価値がありません。

 ですから、トピックス・センテンスだけを読打ときも、せめて雑にしないで正確に読んで欲しいと言われます。

 ざっと読みは、あくまでも精読期を過ぎてからにした方がよいようです。

 和田さんが、きちんと正確に読み込む経験が非常によかったと感じたのは、外国の精神分析の本を訳したときのことだそうです。

 英語で簡単な一言であっても、日本語でそれがよく通じて、しかも自然な表現になるようにするのにかなり苦労しました。

 しかし突き詰めて厳密に読んで翻訳する作業を行ったことで、格段に英語の理解が深まったといいます。

 その後はざっとした読みをしても、それほど的はずれな読みにはならなくなったのです。

 慣れない英語を下手に斜め読みをしようとすると、大きな誤解を招く可能性があります。

 もしもどうしても英文にざっと目を通したいときは、せめて誤読を防ぐために最低限、以下の二点を心に留めておきましょう。

 ○トピックス・センテンスを正確に読む

 ○主語と述語をはつきり心に留めながら読む

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 和田さんは、読みにおいて母語とそうでない言葉の一番の違いは、斜め読みができるかどうかだと言われます。

 日本語なら本を一冊読まなくても、ざっと見て、

「ここは資料として使えそうだ」

などと判断がつきます。

 ところが、仕事柄かなり英文を読んできましたが、いまだに斜め読みは難しいです。

 正確に読むよりかえってつらいくらいです。

 ですから、斜め読みをするくらいなら、和田さんは、トピックス・センテンスを一文一文丁寧に読むことにしているそうです。

 ただ漫然と読んでいては英語も、文の内容も身につかきません。

 トピックスだけわかればいいことなのか、しっかり文の中身を理解して身につけたいのか、自分がは何を求めるのかをはっきり自覚することです。

 そのうえで、段階や状況に応じて自己コントロールしていきたいものです。

 留学した当初、ざっと読みなどできず、宿題の英文を正確に読まねばという強迫観念に駆られ、かなりきちんと訳を書いていました。

 何十頁もあると無理なのですが、そんな場合も一頁でも二頁でも、できる範囲で正確に逐語訳をしてみたそうです。

 一時期そういう読み方をしておくと、いい加減な読み方にならなくなります。

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 和田さんは、 使えるツールとしての「読み」の英語を、ぜひ実践して暦いてほしいと言われます。

 一日に一時間くらい英文を読むという習慣づけは、英会話学校に通うとか、英語の問題集にガンガン取り組むのと比べでどうでしょうか。

 教室に通う行き帰りに費やす時間だけ考えても結構かかるでしょう。

 教室に座っているだけで、何となく勉強したような気になりますが、実際英語は身についているのでしょうか。

 日本語で精神分析の本はたくさん読んでいましたが、読む端から忘れてしまい、順に残っていなかったそうです。

 日本語では無意識に、雑に読み飛ばしていたのでしょう。

 それが英語で精読すると、なぜか忘れないということです。

 ただ漫然と読んでいては英語も、文の内容も身につかきません。

 一頁でも二頁でも、できる範囲で正確に逐語訳をしてることです。

 一時期そういう読み方をしておくと、いい加減な読み方にならなくなります。

 英語を学べたうえに、什事の知識としても定着しましたので一石二鳥でした。

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 教育心理学者・認知心理学者の東大教授、市川伸一先生は、先に訳を読んでから英語を読めということをいっておられるそうです。

 おすすめは、英語がまだ初歩レベルの段階であり、その段階では、先に訳を読んでから英語を読むことは、効果的な英語学習法にとのことです。

 和田さんは、実際大学入試の英語の訳を読んでみると、確かに、なんだこんなに簡単な内容なのかと、ほっとしてリラヴクスできる面がみられると言われます。

 訳を読んでから英文を読むと雑な読み方になりそうな心配はあります。

 でも、割と意味を把握しながら読んでいきますので、その方が内容の理解は進みます。

 認知心理学の専門家も、大大になってからの語学習得というのは「理解」をキーワードにした方がよいという考えのようです。

 ここでいう理解とは、単に言葉かわかるというレベルではなく、言葉が意味する内容自体の把握です。

 そして、和田さんは留学中の宿題で、アメリカ人に英文を読む速さで負けなかったと言われます。

 それはなぜでしょうか。

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 和田さんは留学中の宿題で、アメリカ人に英文を読む速さで負けなかったと言われます。

 それはなぜかといいますと、例えばフロイトのスタンダード・エディションなど、内容が精神分析に関する難しい文章だったからです。

 日本語で読んでもハイレベルの理解が必要な、難しい読み物です。

 はたして、その内容を理解できるかできないかということです。

 日本語でも理解できないものを、英語で理解するのはきわめて難しいです。

 書いてある英文の宇面はなんとか訳せても、どうも内容は腑に落ちないという場合は、日本語になった段階でもその内容が理解できていないということです。

 ということは、留学中の宿題読解のときに、その内容理解という面では、和田さんはいい線をいつていたということです。

 逆に一般的に容易な読み物である、シドニー・シェルダンの著作などを読む速さなら、アメリカ人に勝てるはずはありません。

 一方でただ単に、ハイレペルの内容理解を必要としない純粋に語学的な理解もあります。

 ここはこういう言葉を使うんだという、語学としての理解です。

 これはこれで、ツールとして英語を使ううえで大切ではあります。

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 和田さんは、難しい内容の理解とは、それまでの自分の勉強歴や理解力の蓄積ともいうべき事柄だ、と言われます。

 英語は付け焼き刃でどうなるものでもありません。

 日本にいるとき、精神分析の一方面で、和田さんはいわゆる「できる」方ではなかったそうです。

 日本で精神分析のセミナーに4年通いました。

 さらに、精神分析家になるための訓練言研修に欠かせない個人スーパーヴィジョンを2年受けて経験を積んでいました。

 スーパービジョンとは、スーパーバイザーがスーパーバイジーから施設の入所者などの報告を受けて、それに対して適切な助言や指導を行うことです。

 スーパーバイザーとは、施設などの責任者のことを指し、スーパーバイジーとは、このスーパーバイザーから指導を受ける援助者のことをさします。

 個人スーパーヴィジョンは、その時の治療者の心理状態についても指摘を受ける精神分析の教育法の一種です。

 スーパービジョンの原型であり、スーパーバイザー・スーパーバイジーの1対1で実施されます。

 個別スーパービジョンについて理解してから留学しましたので、本に書いてある中身は把握できたのです。

 そこでディスカッションの場で、多少なりとも意見を発しました。

 すると初めて、「こいつはわかっているんだ」という周囲の手応えを感じました。

 英語ではアメリカ人に並ぶべくもありませんが、内容の把握では決して負けていないという自信は持てたそうです。

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 日本でビジネスマンとして10年、20年と積み重ねてきた方々は、各々のビジネスに関する理解・経験の蓄積がかなり大きいはずです。

 日本語で深い理解力があるなら、英語の理解力も当然深まります。

 英文のビジネス・ウィークリーを読まなければならないときには、目本語段階での理解力かある人間が有利に決まっています。

 そういう意味では、英語に適性があるかどうかは語学的なセンスもありますが、日本語の知識や理解が充実していると非常に有利なのです。

 そして本当はツールとしての英語より、その知識や理解の方かずっと大切なのです。

 それを自覚して日本人が英語コンプレクスを捨てないことには、ビジネスの勝者にはなれません。

 アメリカで通訳がツールの延長線に過ぎない存在と見なされるゆえんです。

 日経新聞も読んでいないのに、突然アメリカのビジネス雑誌を読んで内容が充分理解できるでしょうか。

 国際情勢が日本語でわかっていないのに、英語で読めばよけいわからなくなるに決まっています。

 基礎知識かないまま読もうとしうのは、知識の吸収としう点で無謀なことです。

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